目的を果たしてはいけない理由

こないだ、たまたま新聞を見ていて
「ヨシ飲み」という単語を覚えました。

「吉野家で飲む」という意味だそうです。

吉野家といえば「牛丼屋」ですが、
缶ビールやそのつまみになるようなサイドメニューで
「ちょっと飲んで行ってください」
という売り方も、やってるそうですね。

ぜんぜん知らなかった。

この記事読んで、ひとつ思い出したことがあります。

斬新な楽しみはこういうとこから生まれる

ずっと前ですが、立ち飲み愛好家のブログを見ていて、
その日ハシゴした店の中に「サイゼリヤ○○店」という名前が入っていたことです。

サイゼリヤといえば「ファミリーレストラン」
老若男女、家族で食事を楽しむ場所です。

そこで飲むという😩

でも確かに、飲食のラインナップや値段を見てみると、
何軒かハシゴする店の一つにサイゼを差し込むというやり方は、
成立するんですね。

そういう見方をすれば、お酒に合いそうなメニューはけっこう多い。
グラスワインは100円くらいやし。

私、昔、ある市の公民館に勤めていたことがあります。

公民館なので、いろいろな貸室があるのですが、
たとえば「大会議室」で「ダンスパーティをやりたい」という申し込みがあったとき、
職員のオバちゃんは断るんですね。

十分できるのに。

というか、むしろダンスパーティに向いてましたよ、あの部屋。

公民館もお役所の出先機関ですから、
市民のリクエストを却下するのには理由が要ります。

その理由に使われていたのが、

「目的外使用になるから」

という言い回しでした。

公民館は税金を使って、役所が建てたもの。
「この目的のために作ります」という計画のもとに議会で予算が認められ、
初めて税金を使わせてもらうわけです。
つまり、

1.会議室は「会議をする」という目的のために作られた部屋である
2.ダンスパーティは会議ではない
3.だからダンスパーティには使えない

という三段論法です。

要は、ややこしいお客さんを断るときの
理由づけとして使われていました。

でもこの「目的外使用」こそ、
いますでにあるいろいろなモノに
斬新な価値を与える手法だなあと思います。

ヨシ飲みしかり、サイゼ飲みしかりですが、
その他にも:

・東京へ行く途中に静岡や山梨に寄って、そこメインで遊びまわる
・まち歩きのためのB級スポットマップとして、ポケモンGOを活用する
・静かすぎない環境でゆっくり考えごとをするために、環状線に乗り込む

などなど、いくらでもあります。

縛られちゃいかんですね。

これが仕事の話なら、
目的を踏み外して成果を得られないのは論外となります。

でも、仕事でさえも、
目的(のように見えるもの)じゃないところに、
もっと素晴らしい活路が見出せる
ことは
しばしばあるように思います。

イノベーションとか、新しいアイデアとかが、
遊んでる最中によく生まれてくるのはそういうことでしょう。

本末転倒バンザイです。

まあ、この「予期せぬ」価値を「狙って」獲れるようになれば、
その人は遊びのプロですね。

今日びはそんな遊びのプロが、
仕事のプロとしても珍重される人材になるんやから怖い時代だわ。

とにかく、
まずは一般に常識とされる「目的」にとらわれず、
物事と不マジメに向き合うこと、でしょうか。

この手の例、もう一つ見つけました。
フレッシュネスバーガーです。

ここはバーガー屋にもかかわらず、
「シェイクやジュースではなく、客にお酒を飲ませよう」
という目的外戦略を仕掛けてきています。

その一環として、生ハム&ワイン食べ飲み放題というのをやってるんです。
1時間1,500円やからいいですよ。